近畿大学について ABOUT

実学教育・研究

世界をリードする研究の数々

クロマグロ完全養殖

32年の研究を経て、
世界初となる完全養殖に成功


いけすにエサをまく様子

新聞やテレビのニュースなどで「近大マグロ」という名前を聞いたことはありますか?「 近大マグロ」とは、卵から成魚までを一貫して近畿大学で育てたクロマグロのこと。「完全養殖」は、卵からふ化した稚魚を成魚にまで成長させて卵を産ませ、その卵から生まれた稚魚をまた成魚に育てて卵を産ませるというサイクルのことを指します。このサイクルを繰り返すことによって、天然資源に頼ることなくマグロを確保することが可能になりました。

そもそも、こうした近畿大学の養殖研究は、世界的な人口増加による食糧不足を解決するという大きな目的をもって始められました。

「畑を耕すように、海を耕す」という初代総長の考えのもと、クロマグロの完全養殖を達成する以前からマダイやカンパチといった高級魚の完全養殖を世界に先がけて成功させ、研究成果を社会に還元してきました。着実に研究成果を積み重ねてスタートしたクロマグロ完全養殖への道。しかし、着手当時は誰もが「不可能だ」と断言するほど、困難なテーマでした。

研究当初、クロマグロは生態どころか稚魚の獲り方さえ分かっていない「謎だらけ」の魚でした。さらに、大きな体に似合わずとてもデリケートなため、皮膚の弱さからすり傷が原因で死んでしまったり、照明に驚いていけすの網に激突して死んでしまったりと、養殖場ではとても扱いにくいものでした。研究者たちは問題が起こるたびにクロマグロの様子を細かく観察し、生態を一つひとつ解明しては改善に取り組みました。完全養殖は、こうした地道な努力の継続によって実現した快挙です。プロジェクトがスタートした1970年から実に32年の時を経て、2002年に世界で初めて成功したのです。


いけすにエサをまく様子

研究成果を「美味しい」に変えて、直接お客様へ届ける

近大マグロをはじめ、近畿大学水産研究所で研究育成した「安心・安全、そして美味しい養殖魚」を直接消費者の方に提供する養殖魚専門料理店として、2013年に大阪・梅田と東京・銀座に「近大卒の魚と紀州の恵み 近畿大学水産研究所」をオープンしました。ここで得た消費者の反応を現場にフィードバックすることで、次の研究に生かしています。また、農学部食品栄養学科の学生が考案したメニューの提供や、文芸学部芸術学科の学生が制作したお皿の使用など、実学教育の場としても活用しています。

大手商社と連携し「近大マグロ」を世界へ

世界初のクロマグロ養殖技術を継承するため、2010年から大手商社である豊田通商株式会社とクロマグロ中間育成事業において業務提 携し、技術面での指導およびパートナーシップを強化しました。2014年7月には、提携範囲を拡大し、完全養殖クロマグロの種苗生産のさらなる安定供給と量産化に向けて取り組んできました。その後、近畿大学直営料理店で実施したアンケート調査で、豊田通商が養成したクロマグロの高い品質が確認できたため、近畿大学以外の施設で養殖されたクロマグロでは初めて、「近大マグロ」に認定。今後は、豊田通商の協力を得て量産化を図り、海外にも供給していきたいと考えています。

バイオコークス

近大発、環境問題を打開する新しいエネルギー

バイオコークス
バイオコークス

バイオコークス
バイオコークス

今日、主な天然資源として使用されている「石炭コークス」は、大量のCO2排出による大気汚染や、酸性雨の原因とされる硫黄酸化物の発生、天然資源の枯渇など様々な環境問題を抱えています。

これに代替できる次世代エネルギーとして期待されているのが、バイオコークス研究所長の井田民男教授を中心とする研究チームが開発した 「バイオコークス」です。

「バイオコークス」は、飲料工場から廃棄される「茶かす」や、枯れ葉などの森林資源、農業廃棄物などの植物由来廃棄物から製造される新しい固形燃料です。石炭コークスの課題である化石燃料依存(=天然資源枯渇)や輸入価格変動のリスクを解決する、まったく新しいエネルギーとして期待を集めています。

スターバックス、神戸市と共同でゴミを資源として循環させる実験を開始

スターバックス、神戸市との記者会見の様子
スターバックス、神戸市との記者会見の様子

スターバックス、神戸市との記者会見の様子
スターバックス、神戸市との記者会見の様子

2016年12月からは、スターバックス コーヒー ジャパン株式会社、神戸市と共同で、廃棄物をバイオコークス化し、次世代型再生可能エネルギーとして循環利用するための実証実験を開始しました。コーヒー豆かすやカップなどスターバックスの店舗で廃棄されるものと神戸市内の剪定枝等からバイオコークスを製造し、燃料として使用することで、ゴミを地域資源として循環させるモデルの構築をめざしています。

また、バイオコークス研究における「世界のエネルギー資源の礎となる近大バイオコークスのブランディング」事業が、文部科学省の「平成28年度私立大学研究ブランディング事業」に選定され、世界における石炭・石炭コークスの代替としてバイオコークスを活用するための検証が行われています。

“オール近大”川俣町復興支援プロジェクト

「マイナスからゼロへ(再生)」と「ゼロからプラスへ(復興)」

(左)震災直後から現地入りし、放射線量を測定、(右)ポリエステル繊維を使った土壌でアンスリウム栽培実験
(左)震災直後から現地入りし、放射線量を測定
(右)ポリエステル繊維を使った培地でのアンスリウム栽培実験
町の幼稚園でさつまいもの栽培実習を実施
町の幼稚園でさつまいもの栽培実習を実施

(左)震災直後から現地入りし、放射線量を測定、(右)ポリエステル繊維を使った土壌でアンスリウム栽培実験
(左)震災直後から現地入りし、放射線量を測定
(右)ポリエステル繊維を使った培地でのアンスリウム栽培実験
町の幼稚園でさつまいもの栽培実習を実施
町の幼稚園でさつまいもの栽培実習を実施

2011年に発生した東日本大震災後、近畿大学はいち早く被災地支援を計画し、医療チームの派遣や医薬品の提供、現地で活動するNPO法人の経済的支援などを実施してきました。2012年春、原発事故により一部が計画的避難区域に指定された福島県川俣町の早期復興に向けて、総合大学としての力を結集して支援するために「“オール近大”川俣町復興支援プロジェクト」を立ち上げました。

その後、今日に至るまで川俣町から委嘱された「震災復興アドバイザー」として、「除染・心身ケア」、「復興・産業振興」の両面から支援しています。

<主な活動>
●町内の児童・生徒を対象とした個人の放射線量を測定する積算線量計(ガラスバッジ)の配布・ 測定や、土壌放射線量の測定(原子力研究所)
●医師による定期的な健康相談やメンタルケア支援(医学部)
●微生物や電気化学的な方法による除染、汚染廃棄物の減容化などの研究(理工学部・工学部など)
●ポリエステル繊維やオリジナル栽培棚を使った、汚染された土壌を使わないハーブ、トマト、観賞用草花、さつまいも栽培の提案(農学部、生物理工学部)
●復興シンボルモニュメントづくりや特産品パッケージの作成(文芸学部)

イルカの里親行動

野生ミナミハンドウイルカの里親行動を世界で初めて発見

若いメスが里親となり、他者の子を育てる様子
若いメスが里親となり、他者の子を育てる様子

若いメスが里親となり、他者の子を育てる様子
若いメスが里親となり、他者の子を育てる様子

農学部水産学科の酒井麻衣講師らの研究チームが、伊豆諸島御蔵島周辺に生息するミナミハンドウイルカを観察していたところ、赤ちゃんを連れたメスのリンゴちゃん(当時15歳)が死亡し、若いメスのほっぺちゃん(当時8歳)が代わりにリンゴちゃんの赤ちゃんを養育している様子が確認されました。この研究によって、野生のイルカが血縁関係や親和的社会関係のない他者の子どもを里親となって育てるという行動が世界で初めて確認されました。イルカは他個体を助ける行動がよくみられる動物です。イルカの「他者を助ける」行動に関する研究は、人間社会における助け合いがどのように進化してきたのかを紐解く一つのヒントになるかもしれません。研究チームは、なぜイルカが他者の子どもを育てたのか、継続して研究を続けています。

近大発ナマズ

土用の丑の日にナマズを食べる日も近い!?

近大発ナマズ重
近大発ナマズ重

近大発ナマズ重
近大発ナマズ重

世界経済研究所の有路昌彦教授は、絶滅の危機に瀕しているニホンウナギに代わる食材として、うなぎ味の「近大発ナマズ」の研究を行っています。ナマズとうなぎは皮がぬるっとしているところなどは似ていますが、生物学的に異なることはもちろんのこと、味にも違いがあります。ナマズは一般に泥臭いイメージがありますが、研究の結果、育て方や餌でナマズの味をうなぎに近づけることができることがわかりました。きれいな水で育てたナマズは泥臭くならず、エサを淡水魚用から栄養価の高い海水魚用にかえることで脂身が増し、こってりとしたうなぎ味になります。うなぎの数が減少して価格が高騰するなかで、食卓を救う研究として期待されています。すでに、期間限定で格安航空会社「Peach」の機内食として提供されたり、大手スーパーのイオンで蒲焼として販売されたりしています。

マグロだけじゃない、近大ブランド

近大ブランドが次々とデビュー

  • 近大みかん附属湯浅農場

    魚系の有機肥料を使用して、1本1本の木の間隔を広く取り、日当たりを良くして栽培。機械化が進んだ広大な土地で、太陽の光をたっぷり浴びて育った風味豊かなみかん。

  • 近大マンゴー附属湯浅農場

    台湾で栽培されている「金煌(きんこう)」と、国内の主力品種である「アーウィン」を交配させて育成した近大オリジナルの品種「愛紅(あいこう)」。プリンのような滑らかな食感が特徴です。

  • 近大キャビア 水産研究所/(株)アーマリン近大

    チョウザメのいけすに熊野の清澄な河川水を用い、成長促進のための水温調節(加温)や薬品使用をしないなど、人と環境にやさしい飼育法を徹底。美味しさとともに安全性が特徴。

注目の産学連携プロジェクト

「民間企業からの受託研究実施件数」全国2位に!

文部科学省が発表した「民間企業からの受託研究実施件数」(2015年度)において全国2位、「民間企業からの受託研究費受入額」で 全国3位となりました。大学の技術や学生のアイデアが続々商品化され、企業との共同研究もさかんに行われています。

  • 産学連携で新ブランドを展開 ビューティケア商品「美はお口から研究所」

    薬学部が技術協力し、近大マグロから抽出した希少な「フルレングス生コラーゲン」を使用したリップスクラブなどを開発。文芸学部がパッケージデザインを、経営学部がキャッチコピーを手掛けた、文理融合の学部横断プロジェクト。

  • 「笑い」の医学的効能を検証し「笑い」によるストレス解消をめざす

    大阪らしい「おもろい」研究や教育、情報発信をめざし、吉本興業と包括提携協定を締結しました。取り組みの一つとして、医学部の医師が「笑い」の医学的効能を検証し、新たなストレスマネジメントの方法を開発しています。

  • 筋クランプ(足の攣り)予防効果を持つ 世界初のスポーツウェアを開発

    生物理工学部の谷本道哉准教授とスポーツブランド「 BODYMAKER」が共同開発した、ランナーの筋クランプを予防するスポーツウェア「MAGUROGEAR」。筋肉へ適切な着圧をかけることで筋クランプを予防できることを実験で証明しました。